第18回 平成13年10月26日(金)13時30分から17時まで、しまなみ交流会館会議室1
第18回の物流研究会が17名の参加者を得て開催された。

一般講演3編、プロジェクト研究1編の講演が行われるとともに、講演終了後、しまなみ交流会館東側の空き地にて、廃棄物運搬用特殊コンテナの見学会が開催された。

それぞれの概要は、以下の通りである。

1.一般講演 13時30分から15時30分

(1)「廃棄物運搬用特殊コンテナの開発」斎藤勝彦(神戸商船大学)(pdf 817KB)

 近年、廃棄物処分場に関する問題がクローズアップされるとともに、ダイオキシン類等の毒性物質を含む廃棄物の安全な輸送が要求されている。その輸送にあたっては、輸送に伴う環境負荷の点などから海上輸送が大きな役割を担うことが期待されている。

従って、海上輸送と陸上輸送の一貫輸送に適した荷姿としては、ISO規格に適合したコンテナが必要であるとともに、輸送中の二次汚染の防止等への配慮が必要である。これらの諸条件を満足する廃棄物運搬用特殊コンテナの開発が産学共同の開発チームによって行われた。

そして、ビデオにより開発された廃棄物運搬用特殊コンテナの扉の開閉等の動作説明があり、16時からの見学会では運搬車両に積載された廃棄物運搬用特殊コンテナを用いて、廃棄物の積込みから積卸しまでの各種作業について実演があった。

(2)「荷主の本船積み港湾および輸送手段の選択モデルについて」新谷浩一(大島商船高等専門学校)(pdf 134KB)

港湾、空港の開発では、その利用者の行動予測をもとに施設の立地や規模、機能等に関する検討が行われている。この利用者の行動モデルには、種々のモデルが提案されており、NL(Nested Logit)モデル、利用者均衡モデル等がある。 これらのモデルを用いた過去の研究では、港湾におけるサービス(便数、所要時間、運賃等)を指標とする行動モデルが構築されている。しかし、船社にとって必要なのは、就航航路や配船する船舶の船型、隻数等の決定であり、直ちに利用可能なモデルとはなっていない。

本講演ではその第一歩として、船社の就航航路の集合として表現される輸送ネットワークを考慮した荷主の港湾選択行動モデルを構築するためのモデル案について紹介がなされた。

(3)「超大型船に対応可能なコンテナヤードオペレーション」西村悦子(神戸商船大学)(pdf 243KB)

海上コンテナ輸送における経済性の向上を目的としたコンテナ船の大型化が進んでいる。現在の造船技術では、積載量10000TEUを超える超大型船の建造も可能といわれており、これに対応した港湾開発が活発化している。一方、ハード面からの対応の他、ソフト面からの対応としてコンテナターミナル内でのヤードオペレーションの効率化が重要課題として挙げられている。

本講演では、アムステルダム港のCeres Paragonターミナル等、大型船の就航が可能な既存のコンテナターミナルの紹介の後、ヤードオペレーションの効率化のためのシステムとして、マルチトレーラーシステムが紹介された。そして、このシステムの核となるトレーラーの運搬経路決定のための方法として遺伝的アルゴリズムを用いた近似解法の考え方が説明された。

2.研究会総会 15時30分から16時

今年度から新たな試みとしてスタートしたプロジェクト研究について会長から紹介があった後、採用課題について、広島商船高等専門学校の森田朋子先生より説明があった。

「国際輸送におけるパレット化貨物の現状について」森田朋子(広島商船高等専門学校)

新物流施策大綱において、効率的な物流システムの構築のための施策としてユニットロード化の推進が必要であるといわれている。海上輸送では、コンテナがその基本単位として広く利用されているが、少量の貨物を取り扱う際に用いられているパレットに関しては、十分に普及しているとはいえない状況である。作業効率を向上させるとともに、高齢者や女性にも適した作業環境を提供するためには、物流機器の導入が可能な一貫パレチゼーションを中心としたユニットロード化を促進する必要がある。

そのため本研究では、パレットの利用状況に関する調査を実施するとともに、規格の標準化に関する検討を行うとしている。この研究成果は、来年度の秋季研究会で紹介される予定である。

3.運営委員会 12時から13時

下記の報告等がなされた。

(1)プロジェクト研究の応募について紹介があった後、採用課題について説明がなされた。また、応募が当初の予定より少なかったことから、大学院の学生の研究活動の支援も含め対象者を広げることとなった。

(2)次回春季研究会の物流関連講習会のテーマに関して会員の方々から広く募集することが確認された。テーマの内容については、物流に関する計画手法等に関する内容だけでなく、物流現場における問題提起まで、幅広い内容として捉えることで一致した。


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